タワーマンション節税の穴ふさぎについて

タワーマンションの固定資産評価額

現在テレビでタワマンを舞台にしたドラマが放送されたり、2020年東京オリンピックに向けて建設ラッシュ、有名な節税スキームと何かと話題の多いタワマンですが、高層階の固定資産評価額が適切でないとの指摘が大きくなっているようです。

低層階に比べ高層階の売却価格は高いにも関わらず、固定資産評価額は面積が等しい場合は評価額が同じになります。したがって、固定資産税の納税や、相続税の観点から不公平だという指摘がかねてよりありました。

今回はこの点について独自の私見を述べたいと思います。

高層階に重課税することは公平につながるのか?

面積が同じであれば、低層階の部屋と高層階の部屋の固定資産評価額が等しいことは、金持ち優遇であり公平性を欠くという意見がありますが、本当にそうなのでしょうか?私は下記の点からそれを批判したいと思います。

高層階1億円の部屋Aと低層階4千万円の部屋B、面積はいずれも等しいと設定しましょう。

①この論点は「低層階と高層階の租税負担の公平性」の話であって、分譲一戸建てや賃貸暮らしの方には関係のない話です。つまり一般的な租税の公平性という観点からは無縁です。

②固定資産評価額の面では確かに高層階有利といえるでしょう。しかし、取得する際に1億円という金額を払っているわけです。また逆を言えば「面積が同じにも関わらず部屋Aは部屋Bより4千万円も多く支出している」わけです。

③部屋Aは部屋Bより価格下落リスクを抱えています。どういうことでしょうか?例えば高層階1億円の部屋Aが市場売却価格においては6千万円に下落する可能性は大いにあるでしょう。ただ、低層階4千万の部屋Bの市場売却価格が0円になることはまずあり得ないでしょう。つまり、固定資産税評価額、相続税の面では確かに有利ですが、それ以上に損をするリスクを高層階は含んでいるといえるでしょう。

なにもタワーマンションだけ規制しなくても良いのでは?

タワマン階層カースト、など何かと目をつけられる高層階ですが、これに重課税することはパフォーマンスのように思えます。もっと他にすべきことがあるような気がします。

「現金を不動産に変換すれば評価額が下がる」というのが、相続税の基本ですし、これを規制し始めると他の不動産に波及するように思えます。それこそ、タワマン高層階のみ規制することは「税負担の公平性を欠く」のではないでしょうか。