2つ以上の相続税申告書を提出することになるかもしれないケース
相続人の間で争いがあるため、相続人それぞれが税理士に依頼するケースがあります。
この場合、一人の被相続人の財産について複数の相続税申告書が存在することになります。
ここで一つ申し上げたいのが、実は「相続人が各人で相続税申告書を作成し各人で提出し各人で納付する」ことが「原則」です。
しかし実務は「被相続人に対して一つの相続税申告書に連名して提出」する例外とされているケースが多いです。
つまり「例外」のほうが「通常」のように取り扱われています。
話を戻しますと、2つ以上の相続税申告書が税務署に提出されているため、一つの相続税案件で課税価格が2つ以上存在することになり、税務調査に発展する可能性が高くなります。
これを防ぐにはやはり、相続人同志がコミュニケーションを図るしかありません。
しかしこれが困難な場合には、各人が依頼した税理士同志でやり取りしてもらうようにし、なるべく同じ課税価格で、同じ内容の相続税申告書を提出するべきであると考えます。
相続税申告書が複数存在する場合に注意すること
1つの相続案件で、複数の相続税申告書が存在する場合、遺産分割確定後の更正の請求や修正申告書も複数存在することになります。
例えば、相手方の相続人が更正の請求をした場合において、当方相続人が修正申告をしなかったときは、税務当局から更正通知書が届き、一定の期間を超えて納付する場合には、延滞税が賦課されるため注意が必要です。
相手方がどのような税務処理をしているか、その都度確認する必要があります。