(2025年4月28日作成)(2025年5月21日再編集)

結論

・所得税・消費税・法人税に比べれば相続税調査においてはうっかりミスと言い張れば相続税重加算税を回避できる可能性は高いと解されます。
・最も明確な根拠としては相続税の実地調査事績において国税庁が明示している重加算税賦課割合が低い傾向にあることとなります。
・次の根拠としてはあくまで弊所独自の算出方法ですが、国税不服審判所において相続税贈与税における重加算税賦課について争われた事例で重加算税賦課が取り消された確率が約50%であること
・次の根拠としては、国税庁が公表している税務大学校論叢(ろんそう)という論文において相続税贈与税については重加算税賦課が困難なケースが多く存在しているという記述があります。
・国税庁が公表している税務大学校論叢(ろんそう)という論文において、相続税・贈与税の重加算税賦課は多角的な間接事実や複合して行われる特段の行動を集積し、それらを総合勘案して判断される、という記述があります。

下記で詳細を記述します。

所得税・消費税・法人税に比べれば相続税調査においてはうっかりミスと言い張れば相続税重加算税を回避できる可能性は高いと解されます。

所得税・消費税・法人税においてうっかりミスと言い張って重加算税を回避する方法はなかなか困難である、というのが弊所の見解となります。理由は下記です。

・商売人である個人事業主や法人代表者が税法に関して無知であることを主張することは苦しい言い訳でありうっかりミスで逃げることが困難であること。
・弊所独自の研究ではあるが、所得税・消費税・法人税において裁決要旨検索システムを利用した統計から算出した裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は15%であったこと。

こちらのページもご参考ください。

裁決要旨検索システムを利用した統計から算出した裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は15%という弊所独自の見解 – 税務調査専門重加算税回避無申告解消全国対応京都の税理士

最も明確な根拠としては相続税の実地調査事績において国税庁が明示している重加算税賦課割合が低い傾向にあることとなります

こちらのページをご参考ください。

相続税の重加算税賦課割合(相続税の実地調査事績より)

改めてまとめますと下記です。

・相続税申告については、税理士関与及び書面添付率が高いにも関わらず、実地税務調査において約14%重加算税が賦課される
・事前に入念な調査準備をしたうえでの相続税の調査になると思われます。しかしながら、それであっても平均約14%である

上記の事実についての弊所の見解は、相続税の重加算税賦課の可能性は低い、という見解です。

次の根拠としてはあくまで弊所独自の算出方法ですが、国税不服審判所において相続税贈与税における重加算税賦課について争われた事例で重加算税賦課が取り消された確率が約50%であること

こちらのページをご参考ください。

国税不服審判所裁決要旨検索システムを利用した統計から算出した相続税贈与税裁決で争った場合の重加算税賦課回避可能性は約50%という弊所独自の見解

まとめますと下記です。

弊所独自の研究ですが、税務署が当然のように「重加算税を賦課する」と処分してきたにも関わらず、実は裁決で争えば半分は取り消されている。

次の根拠としては、国税庁が公表している税務大学校論叢(ろんそう)という論文において相続税贈与税については重加算税賦課が困難なケースが多く存在しているという記述があります

福原俊之「相続税・贈与税に係る重加算税賦課の一考察-ことさら過少等に対する賦課基準-」税務大学校論叢第102号 令和3年6月p249より

所得税や法人税が売上除外や二重帳簿の作成等をその典型例とする一方で、相続税・贈与税については、事業上の取引とは異なり、いわば家庭内の話であることから、「隠蔽又は仮装」の事実を直接的に立証する証拠書類が少なく、重加算税の賦課が困難なケースも多く存在している。

国税庁が公表している税務大学校論叢(ろんそう)という論文において、相続税・贈与税の重加算税賦課は多角的な間接事実や複合して行われる特段の行動を集積し、それらを総合勘案して判断される、という記述があります

福原俊之「相続税・贈与税に係る重加算税賦課の一考察-ことさら過少等に対する賦課基準-」税務大学校論叢第102号 令和3年6月p266より

相続税・贈与税におけることさら過少申告等においては、多角的な間接事実や複合して行われる特段の行動を集積し、それらを総合勘案して確実に過少申告等の意図が存在することが示されなければならない。

まとめ

所得税、消費税、法人税の納税義務者とは異なり、相続税の納税義務者は高齢であることや無知であることが許される傾向にあり、うっかりミスと言い張れば相続税の重加算税を回避できる可能性は存在すると解されます。