(2016年5月11日作成)(2025年5月19日再編集)

結論

・被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について相続発生日から3、4、5、6、7年前という比較的直近におけるものについては調査官と納税者の攻防は複雑です。
・被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について相続発生日から8年以上前という昔のものについては、調査官は時効のない貸付金・名義預金と主張し納税者は贈与時効を主張する攻防と考えられます。
・被相続人口座からの出金でその使途が不明確の場合は、調査官は手許現金と主張し納税者は生活費として費消を主張する攻防と考えられます。
・税理士、税理士事務所である弊所は調査官が調査官の都合により納税者への不利な主張に対して反論いたします。

以下で詳細を記述します。

被相続人口座からの出金に関して生前贈与と時効贈与と名義預金と生活費費消と使途不明金などについて納税者と税務調査官の攻防についてまとめ表

被相続人口座からの出金に関して生前贈与と時効贈与と名義預金と生活費費消と使途不明金などについて納税者と税務調査官の攻防についてまとめ表調査官の主張納税者の主張
「生前贈与加算対象期間」における被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について
・2024年令和6年1月1日以後2030年令和12年12月31日以前贈与の「生前贈与加算対象期間」は相続発生日から3~6年前まで
・2031年令和13年1月1日以後贈与の「生前贈与加算対象期間」は相続発生日から7年前まで
・暦年贈与非課税範囲内であれば、贈与を証明するその他資料が存在しなければ、貸付金・名義預金と主張すると考えられる
・暦年贈与非課税範囲を超える場合は、発生する贈与税額を加味して、贈与として生前贈与加算による相続税対象+無申告贈与税対象を主張する可能性がある
・暦年贈与非課税範囲内であれば、遺産分割の対象となることを避けるため、贈与であり生前贈与加算による相続税対象+贈与税非課税と主張すると考えられる
・暦年贈与非課税範囲を超える場合は贈与ではなく、貸付金、名義預金などとして相続税対象のみであると主張すると考えられる
・暦年贈与非課税範囲を超える場合であっても、その他特別な理由を根拠に生活費の援助等による非課税を主張すると考える
8年以上前における被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について時効のある贈与ではなく、貸付金、名義預金などとして相続税対象であると主張すると考えられる時効贈与であると主張すると考えられる
被相続人口座からの出金でその使途が不明確手許現金として相続財産に計上すべき、その使途内容を立証すべきと主張すると考えられる生活費として費消された、使途不明であったとしても推定課税は認められないと主張すると考えられる

(表1)被相続人口座からの出金に関して生前贈与と時効贈与と名義預金と生活費費消と使途不明金などについて納税者と税務調査官の攻防についてまとめ表

被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について相続発生日から3、4、5、6、7年前という比較的直近におけるものについては調査官と納税者の攻防は複雑です

当該ケースにおいて調査官と納税者の思惑は下記と解されます。

・暦年贈与非課税範囲の場合
●調査官
単なる資金移動は贈与とは認められず贈与の意思の存在を示す資料が必要と主張する可能性が考えられる
●納税者
遺産分割の対象となることを避けるため、贈与であり生前贈与加算による相続税対象+贈与税非課税と主張する可能性が考えられる

・暦年贈与非課税範囲を超える場合
●調査官
贈与として生前贈与加算による相続税対象+無申告贈与税対象を主張する可能性がある
●納税者
・貸付金、名義預金などとして相続税対象のみであると主張すると考えられる
・その他特別な理由を根拠に生活費の援助等による非課税を主張すると考えられる

被相続人口座から相続人口座への贈与と思しき出金について相続発生日から8年以上前という昔のものについては、調査官は時効のない貸付金・名義預金と主張し納税者は贈与時効を主張する攻防と考えられます

当該ケースの場合は単純かつ明確と解されます。

・調査官
時効のある贈与ではなく、貸付金、名義預金などとして相続税対象であると主張すると考えられる

・納税者
時効贈与であると主張すると考えられる

被相続人口座からの出金でその使途が不明確の場合は、調査官は手許現金と主張し納税者は生活費として費消を主張する攻防と考えられます

当該ケースの場合も単純かつ明確と解されます。

・調査官
手許現金として相続財産に計上すべき、その使途内容を立証すべきと主張すると考えられる

・納税者
生活費として費消された、使途不明であったとしても推定課税は認められないと主張すると考えられる

税理士、税理士事務所である弊所は調査官が調査官の都合により納税者への不利な主張に対して反論いたします

すべての税目に共通してお答えできることですが、納税者が提出した申告書はまず最大限尊重されます。反対に無申告等の場合は不利となります。

きちんと期限内申告により主張することが最善策であると解されます。