(2016年10月12日作成)(2025年5月20日再編集)

結論

・金融機関が所有している過去の預貯金明細は10年という傾向があり税務署調査官も金融機関調査として取得可能な資料となります。
・被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存していればそれを利用します。
・被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存しておらずかつ申告期限まで時間がある場合は発行を依頼しましょう。
・被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存しておらずかつ申告期限まで時間がない場合は状況に応じて発行を依頼しましょう。

下記で詳細を記述します。

金融機関が所有している過去の預貯金明細は10年という傾向があり税務署調査官も金融機関調査として取得可能な資料となります

代表的な金融機関別過去通帳取引明細発行可能年数手数料まとめ表過去発行可能年数手数料発行にかかる期間分析
ゆうちょ銀行10年1冊・10年・1,100円不明手数料安い
三菱UFJ銀行10年証明期間1ヵ月あたり(ご依頼1通ごと)330円不明手数料高い
みずほ銀行10年発行手数料330円/1ヵ月(税込)お手続後、約2~3週間で郵送手数料高い
三井住友銀行10年(5年以内の期間分) 明細1年分につき1,100円。
(5年超の期間分)5年分の手数料5,500円に加えて、5年を越える明細1ヶ月分につき550円。
※1年は、翌年の応当日の前日までです。例: 2019/1/15~2020/1/14は1年分、2019/1/15~2020/1/15であれば2年分と計算します。
不明手数料高い
三井住友信託銀行明記無し異動明細表1科目1カ月につき220円不明手数料高い
りそな銀行明記無し預金・融資取引明細表発行手数料※1口座1ヵ月220円
※異なるお口座の取引明細表については、それぞれ手数料がかかります。
不明手数料高い
京都銀行ご依頼日の前日から、過去最大10年取引明細表発行(1通)550円不明手数料安い
京都中央信用金庫依頼日から遡って10年間依頼通数につき550円不明手数料安い
京都信用金庫10年(と思われる)1冊につき 1,100円(と思われる)不明手数料安い

(表1)代表的な金融機関別過去通帳取引明細発行可能年数手数料まとめ表

まとめると下記となります。

・ゆうちょ銀行の手数料は安い
・メガバンクの手数料は高い
・地銀、金庫の手数料は安い

となります。また

・税務調査官であっても金融機関の保存期間10年を超える資料を入手することはできないと解されます
・反対に言えば、税務調査官は10年分は事前に下調べをすると解されます。

被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存していればそれを利用します

みなさん、過去の古い通帳を捨てるべきか保存すべきか迷われたことがあるかもしれません。当該論点については、学校で習うわけでもテレビで広告があるわけでもないため、個々人の判断にゆだねられています。ただ、事実というものは資料に記録されていくものであり、過去に何があったか事実を証明するのであれば通帳を保存すべきと解されます。

性格的に几帳面であり、なかなか捨てることができない方は古い通帳が保存されていることも多く、それを利用します。

被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存しておらずかつ申告期限まで時間がある場合は発行を依頼しましょう

過去通帳を捨てている場合かつ申告期限まで時間がある場合は発行を依頼しましょう。上述のように、税務署調査官も金融機関調査として取得可能な資料です。また、相続税申告漏れとなる相続財産の種類は、その他を除けば「現金・預貯金等」であり、「相続税の税務調査の主戦場は現金・預貯金等」と言われております。こちらのページをご参考ください。

申告漏れ相続財産の金額の構成比

一般的に簡単とされているが実は難易度が高い現金預貯金の財産評価を詳細に解説します

被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存しておらずかつ申告期限まで時間がない場合は状況に応じて発行を依頼しましょう

上記の表のように明細の発行は1週間から3週間程度かかるかもしれません。被相続人、相続人等の納税者が過去10年の通帳を保存しておらずかつ申告期限まで時間がない場合は状況に応じて発行を依頼となると解されます。