消費増税再延期の閣議決定(住宅資金贈与非課税限度枠改正)

消費税増税再延期についての閣議決定が2016年8月24日に行われました

余談になるかもしれませんが、法律の原案作成から法律の公布までの流れを見ておくことにしましょう。三権分立で、裁判所(司法)、国会(立法)、内閣(行政)に分かれています。法案は内閣が作成し、国会の審議・採決により法律が成立します。「閣議」というのは内閣での話し合いのことを指します。閣議決定とはこの話し合いの内容が決まったということであります。したがって、閣議決定の内容は国会で通らないかもしれませんが、おそらくこの消費税増税再延期の内容は許可されるでしょう。

閣議決定の具体的な内容

いくつか論点はございますが、私がピックアップしたものは以下です。

①消費税率10%への引き上げ時期が平成31年10月1日(2019年10月1日)に変更
②住宅資金贈与非課税限度枠の改正

先日のブログでも記載しましたが、やはり住宅資金贈与非課税枠について、消費増税再延期に伴う影響がございました。

(1)住宅用家屋の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合(以下、「特別住宅資金非課税限度額」)

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間耐震等住宅用家屋左記以外の住宅用家屋
現行改正案
平成28年10月~平成29年9月平成31年4月~平成32年3月3,000万円2,500万円
平成29年10月~平成30年9月平成32年4月~平成33年3月1,500万円1,000万円
平成30年10月~平成31年6月平成33年4月~平成33年12月1,200万円700万円

(2)(1)以外の取得の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間耐震等住宅用家屋左記以外の住宅用家屋
現行改正案
平成28年1月~平成29年9月平成28年1月~平成32年3月1,200万円700万円
平成29年10月~平成30年9月平成32年4月~平成33年3月1,000万円500万円
平成30年10月~平成31年6月平成33年4月~平成33年12月800万円300万円

今年である平成28年10月以後に直系尊属から3,000万円の贈与を受けて住宅を購入しようと考えておられた方々、2年半それが先送りになりました。今は閣議決定の段階ですが、おそらくそうなるでしょう。

住宅資金贈与非課税限度枠の使用の注意点

ここで注意しておきたいのが、その住宅取得にかかる購入金額に消費税の税込かそうでないかという点です。以下、新築マンションと中古マンションに分けて解説したいと思います。

(1)新築マンションの場合

新築分譲マンションは、「業者」が住宅を販売する行為でありその代金には消費税が含まれています。従いまして、平成31年10月1日以後の新築分譲マンションには消費税が10%含まれており、「特別住宅非課税限度額」を使用できるわけです。

(2)中古分譲マンションの場合

この場合は注意が必要です。以下の2パターンが考えられます。
①販売主が「一般の個人」で「業者が仲介」している中古分譲マンションの場合。この場合は、売主が「個人」であり個人の住宅の売却は「消費税の非課税取引」です。従いまして、消費税が含まれておらず「特別の非課税枠」は「使用できない」です。

②「個人から買い取った住宅」を「業者」が販売している中古分譲マンションの場合。この場合は売主が「業者」でありその売却額には消費税が含まれています。従いまして「特別住宅非課税限度額」を使用することができます。

いかがだったでしょうか?もしわからなければ、京都の相続専門税理士である田中税理士事務所にご相談ください!