(2016年12月8日作成)(2023年9月13日再編集)
まず令和5年(2023年)中あるいは令和6年(2024年)以降から戸籍収集が便利で楽になる新システムが導入されるようです
(図1)本籍地以外での戸籍謄本発行が可能となる新システム
令和5年、つまり2023年中をめどに戸籍収集に関して便利な新システムが導入されることになっております。しかし、令和6年、2024年以降であるという情報もあり、また現状においてどの都道府県市町村が既に導入稼働済みであるかは調べられておりません。
概要は、aさんは、A市に現戸籍、B町に転籍前の戸籍、C村に婚姻前の戸籍、がある場合にはそれぞれに戸籍を請求しなければなりませんでした。しかし、改正後はA市の窓口に請求すれば、すべての戸籍が収集できるというシステムとなるようです。
しかし、注意点としては、郵送による請求については対応しないようです。つまり、改正後であってもA市、B町、C村のすべての窓口に郵送請求請求しなければならないことになります。市役所窓口というのは混雑します、予定を立てて訪問し、待ち時間も発生します。やはり郵送請求は魅力的であるものの対応してくれないということになります。
従いまして、新システム導入稼働後は2024年以降であると仮定し、2023年以前及び郵送請求の場合、と分別して解説したいと思います。
新システム導入前(2023年まで)及び導入後であっても郵送により被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得して相続人を確定させる方法
概要
・戸籍は住所地ではなく本籍地で収集します。
・被相続人の相続人である子は、結婚して戸籍を抜けている場合は、その子ごとに収集が必要です。
・市役所の市民窓口課も戸籍のプロであり無料で利用できるのでありがたく利用しましょう。
・収集した戸籍から読み解いて相続人の確定が必要です。
・士業による戸籍代理取得及び読み解いての相続人確定作業は有料であることが高確率です。
相続人を確定しなければ何も始まらない
遺産分割を行うには、認知した子、養子縁組した子などすべて調べて確定しなければなりません。相続人が1人でも欠けていた場合は、せっかく遺産分割行儀がまとまっていてもすべての内容は無効になります。相続人を確定するには、被相続人のすべての戸籍を調べる必要があります。
戸籍を調べるとは?
戸籍には、どこで生まれ、誰が親で、いつどこで死亡したかなど、出生から死亡までの身分事項が記載されています。夫婦を一単位として、その子までを同一戸籍とし、市区町村単位で管理されます。
戸籍には、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本、などがあります。戸籍謄本とは、戸籍内のすべての者の記録を書面の形で発行してもらったものを言います。
戸籍により記載されているものが死亡した場合や、結婚によりほかの戸籍に移った場合などは、名前がバツで抹消されます。これを除籍と言います。戸籍内のすべての者が除籍した場合や本籍をほかの市町村に移した場合(転籍)は、その戸籍自体を除籍といい、その写しを除籍謄本といいます。
また、法改正により戸籍は何度か改製(作り直し)されており、改製前の戸籍を改製原戸籍といいます。主な改正としては、昭和32年と平成6年に戸籍の改製があります。
戸籍の調査は、まず被相続人の最後の本籍地の役場で戸籍謄本を取ることから始まります。遠隔地の場合は、郵送でも請求できます。本籍地が解らなければ、本籍地入りの住民除票(住民登録が抹消された住民票)を取り寄せればわかります。
婚姻、転籍、改製などにより、新しい戸籍が編製されるとき、すでに除籍されたものは記載されません。そのため、すべての相続人を確認するには、ひとつひとつ戸籍をさかのぼって追跡していかなければならないのです。
市役所の市民窓口課も戸籍のプロであり無料で利用できるのでありがたく利用しましょう
上記で戸籍謄本の種類を説明しましたが、難しいと思いますので覚える必要はないでしょう。相続人としてはどのような手続きをすればよいのかが重要であるためまとめます。
・被相続人の現本籍地の役所の窓口へ行く、又は郵送で「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をお願いします」と請求する→もし仮に前戸籍謄本が他都道府県に請求が必要であればそのアナウンスがもらえるはず→前戸籍謄本の存在する都道府県の窓口に行く、又は郵送で「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を収集しており、現本籍地の窓口で誘導があった旨」を伝えて請求する、これを繰り返す
という手順となります。
・相続人については現本籍地の窓口で現在戸籍謄本を取得すれば完了となります。
新システム導入稼働後(2024年以降)の被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得して相続人を確定させる方法
・被相続人の現本籍地の役所の窓口へ行く、その場合はおそらく被相続人の相続人である関係を示す書類が必要と思われます。そこで「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をお願いします」と請求すればすべて揃うと予測されます。
・相続人については現本籍地の窓口で現在戸籍謄本を取得すれば完了となります。
取得した戸籍謄本を読み解いて相続人を確定することになりますが、多くの場合予想された相続人でしょう
ネット記事や書籍において、戸籍謄本を読み解いて相続人を確定させることは難しいとの記述が散見されます。確かに戸籍を読みことは難しいでしょう。しかし、多くの場合、「私たちの家族構成ってこうだよね」という認識、既知の情報があると思います。確かに、養子や隠し子の存在もそこで発覚するケースもあるでしょうが、たいていは予想された相続人であると思われます。
まとめ
市役所の窓口という無料の行政サービスを受ければ、戸籍謄本の収集はそこまで難しいことはないでしょう。弊所は代理取得せず、基本的に相続人に説明解説を行ったうえで取得していただいております。また新システム導入後の代理取得が困難となると言われております。