(2024年2月1日作成)

結論

・相続税の税務調査において重加算税が課せられる可能性、確率、割合は、平均して約14%と解されます。
・相続税申告においては税理士の関与割合が高く、書面添付割合も高いにも関わらず平均して約14%の重加算税割合となっております。
・どのような場合に相続税の重加算税が賦課されるのか、については隠ぺい仮装があった場合と定義されています。

以下において詳細を記述します。

相続税の税務調査において重加算税が課せられる可能性、確率、割合は、平均して約14%と明確に公表されています。なお所得税税務調査においては集計公表は無く、法人税税務調査においては不正計算という文言による集計公表です

まずこちらの表をご参考ください。

相続税の実地調査事績調査21事務年度(H21/7-H22/6)調査22事務年度(H22/7-H23/6)調査23事務年度(H23/7-H24/6)調査24事務年度(H24/7-H25/6)調査25事務年度(H25/7-H26/6)調査26事務年度(H26/7-H27/6)・調査27事務年度(H27/7-H28/6)
・基礎控除改正
調査28事務年度(H28/7-H29/6)調査29事務年度(H29/7-H30/6)調査30事務年度(H30/7-R1/6)・調査元事務年度(R1/7-R2/6)
・コロナ発生
調査2事務年度(R2/7-R3/6)調査3事務年度(R3/7-R4/6)調査4事務年度(R4/7-R5/6)平均
実地調査件数/件13,863 13,668 13,787 12,210 11,909 12,406 11,935 12,116 12,576 12,463 10,635 5,106 6,317 8,196 11,228
申告漏れ等の非違件数/件11,748 11,276 11,159 9,959 9,809 10,151 9,761 9,930 10,521 10,684 9,072 4,475 5,532 7,036 9,365
非違割合(②/①)/%84.782.580.981.682.481.881.882.083.785.785.387.687.685.883.4
重加算税賦課件数/件1,970 1,897 1,569 1,115 1,061 1,258 1,250 1,300 1,504 1,762 1,541 719 858 1,043 1,864
重加算税賦課割合(④/②)/%16.816.814.111.210.812.412.813.114.316.517.016.115.514.814.4
申告漏れ課税価格/億円3,995 3,994 3,993 3,347 3,087 3,296 3,004 3,295 3,523 3,537 3,048 1,785 2,230 2,630
⑥のうち重加算税賦課対象/億円698 609 581 436 360 433 458 540 576 589 572 319 340 388
追徴税額/本税/億円732 685 649 527 467 583 503 616 676 610 587 416 486 582
追徴税額/加算税/億円124 112 107 83 71 87 80 101 107 98 95 66 74 87
追徴税額/合計/億円856 797 757 610 539 670 583 716 783 708 681 482 560 669
実地調査1件当たり申告漏れ課税価格(⑥/①)/万円2,882 2,922 2,896 2,741 2,592 2,657 2,517 2,720 2,801 2,838 2,866 3,496 3,530 3,209
実地調査1件当たり追徴税額(➉/①)/万円618 583 549 500 452 540 489 591 623 568 641 943 886 816

(表1)相続税の実地調査事績より相続税の重加算税賦課割合

次に、弊所は「所得税及び法人税並びに消費税の税務調査専門税理士」としても活動しており、こちらのページもご参考ください。

国税庁公表データから税務調査を考察(個人所得税・個人消費税・法人税・法人消費税) – 税務調査の重加算税回避無申告解消専門全国対応京都の税理士 (tt-web.sakuraweb.com)

上記の通り、相続税の税務調査においては下記に表のように明確に「重加算税」という文言を使用して集計公表されていますが、所得税の税務調査件数集計においては重加算税賦課件数等の集計が全く存在せず、法人税の税務調査件数集計においては「不正計算」「不正所得」としての集計公表が存在します。

当該差異について、もし仮に国税庁へ問い合わせしたとしてもおそらく「そういう決まり、ルールです」として明確な理由は答えてくれないでしょう。

いずれにしても、相続税の税務調査において重加算税が課せられる可能性、確率、割合は、平均して約14%となります。

相続税申告においては税理士の関与割合が高く、書面添付割合も高いにも関わらず平均して約14%の重加算税割合

こちらをご参考ください。

税目(所得税法人税相続税)ごとの実地調査・簡易な接触・非違割合・税理士関与割合・書面添付割合平均比較

上記ページより、

・相続税の税理士関与割合85.9%、書面添付割合19.7%、実地税務調査の非違割合、83.4%

・そして相続税の税務調査における重加算税賦課割合は平均して約14%

となります。つまり、相続税申告については、税理士関与及び書面添付率が高いにも関わらず、実地税務調査において約14%重加算税が賦課されることになります。

相続税調査における重加算税賦課割合約14%は高いのか?低いのか?

弊所独自の見解としては低い、と解されます。こちらのページをご参考ください。

年間死亡者のうち相続税申告書提出が必要な被相続人数及び税務調査の割合

上記のページより相続税の提出した申告書に対しての実地税務調査割合は約8%であり、年間調査件数約11,000~12,000件と、つまりかなり絞られて、選定されて、狙い撃ちが原則と予測されます。

これはおそらく、税務署における相続税の税務調査官の人数が少ないことが影響していると解されます。そうすると事前に入念な調査準備をしたうえでの相続税の調査になると思われます。しかしながら、それであっても平均約14%であるわけですから、これらを総合すると相続税の重加算税賦課割合は低い、と結論づけました。

どのような場合に重加算税が賦課されるの?

悪いことをすると重加算税が賦課される、ということはわずかに聞いたことがあるかもしれません。概ね正しい理解とおもいます。正確には、隠蔽(いんぺい)仮装があった場合に重加算税が賦課されます。

では隠蔽(いんぺい)仮装とはどのような行為なの?という疑問が生じると解されます。詳細はこちらのページをご参考ください。

 

まとめ

相続税申告においては税理士関与した申告書であることが前提のうえで約8%が税務調査の対象となり、相続税調査が行われた場合の約14%の割合で重加算税が賦課されています。